うな丼の未来シンポ

これからも「うな丼」を食べ続けられるのか?

(2016年7月10日)

「これからも、うな丼を食べ続けることができるのか」と、『うな丼の未来W』というシンポジウムが、東京大学で7月9日に開かれました。今年のテーマは、1年で食べられるウナギの32%が一気に消費される「夏の土用の丑の日のあり方を考える」でした。

 

おもしろいテーマですが、内容は緩くありません。絶滅危機にあるウナギの生態を調べ、資源保護につなげようというシンポジウムです。

 

ウナギは、慢性的に資源が低迷しています。絶滅危惧種に指定されているウナギもあり、ニホンウナギも2014年6月12日に絶滅危惧種に指定されました。

 

  • なぜウナギはこんなに減ってしまったのか?
  • どうすれば回復させることができるか?
  • これからも「うな丼」を食べ続けることができるのか?

 

山積している課題を前に、日本人が「こよなく愛するウナギ」の食文化を絶やさないために、様々な考えを持ち寄り、人とウナギの共存の道を模索しようというものです。

 

主催は、東アジア鰻資源協議会・日本支部。東京大学大学院農学生命科学研究科と北里大学海洋生命科学部の共催です。

 

ウナギの稚魚の遡上が、漁期後の5〜6月にピーク

このシンポジウムの中で、新しい報告がありました。ニホンウナギの稚魚の遡上に異変が起きているというのです。

 

ニホンウナギの稚魚は、冬から春にかけて川を上ります。そのため、日本国内各地のシラスウナギ漁は、遡上シーズンとされる12月から4月が中心です。

 

ところが、ニホンウナギの稚魚が、6月に入っても遡上する年が相次いでいるというのです。漁期後の5月・6月に遡上のピークがあるというのです。北里大や東京医大の研究チームが調査結果をまとめました。

 

研究チームは、神奈川県の相模川で、過去7年間(2010年〜2016年)にわたって定点調査を実施しました。その結果、6月に多くのシラスウナギが遡上する現象が、7シーズン中4シーズンで確認されたそうです。2010年、2011年、2012年と2016年の4シーズンです。

 

九州の河川でも、遡上が6月まで続く現象が起きているそうです。

 

こうした現象が、ニホンウナギの資源量にどう影響するかは、今のところ不明です。

 

ニホンウナギは、マリアナ諸島沖で生まれ、海流に乗って日本の沿岸にやってくることが分かっています。近年、産卵場所の南下や海流の変化で、日本に辿り着けず死んでしまう稚魚が増えているともいわれます。

 

篠田章・東京医大準教授(魚類生態学)は、「エルニーニョになるとウナギが流れる環境が悪くなるので、やってくるまでに時間がかかる。漁期の間に獲れなくなり、漁期の後に昔と同じくらいの量が獲れるため、たくさん獲れたように見えている」「気候変動など何らかの要因で、稚魚が日本にやってくる時期が以前より延びているのではないか。さらに多くの河川で、調査データを集める必要がある」と話しています。

 

養殖用の稚魚は減少し、価格は上昇しています。これからも日本人が「うな丼」を食べ続けるには、ウナギの生態について、さらに科学的調査を進めることが必用なようです。

 

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