ニホンウナギが絶滅危惧種指定

国際自然保護連合(IUCN)がニホンウナギを絶滅危惧種指定へ

(2014年6月13日)

国際自然保護連合(IUCN)が6月12日、絶滅の恐れのある生物を対象とした「IUCNレッドリスト」改訂版に、ニホンウナギを掲載し、絶滅危惧種として指定しました。

 

今年(2014年)は、うなぎ稚魚の漁獲量が数年ぶりに回復し、うなぎ蒲焼の値段も下がりそうという嬉しい報道があったばかりなのに、今度は、ニホンウナギが絶滅危惧種に指定されるという知らせです。

 

将来的に、取引や漁獲を制限される可能性が高く、価格が高騰し、蒲焼で親しまれているウナギが身近な魚でなくなるかもしれません。

 

絶滅危惧種に指定されるとウナギは食べられなくなる?

絶滅危惧種に指定されたからといっても、ただちに消費や捕獲が禁止されることはありません。しかし、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約で、IUCNレッドリストは規制対象を決める有力な資料になります。

 

IUCNによって絶滅の危機にある種として指定されたことで、ワシントン条約で規制対象になる可能性が高まりました。次回2016年の国際会議で、参加国から規制が提案されて、投票国の3分の2以上が賛成すると、商業目的の国際取引が禁止されるか、輸出国の許可が必要となります。

 

商業目的の国際取引が禁止されると、食べることができるのは、国内で漁獲された稚魚を養殖したウナギと、国内で捕獲された天然ウナギに限られるようになります。

 

輸出国の許可の場合も、輸出国は漁獲が種の存在を悪化させないことなどを証明しなければならなくなります。

 

ウナギ生産量は激減

今年(2014年)うなぎ稚魚の漁獲量が回復したとはいえ、長期的に見れば激減しています。

 

下のグラフは、農林水産省の統計をもとに、ニホンウナギ(成魚)の生産量とシラスウナギ(稚魚)の漁獲量の推移を表したものです。

 

うなぎ稚魚の漁獲量は、1957年には200トンを超えていたのが、2012年にはわずか2トンです。100分の1に減少しています。

 

成魚(親うなぎ)の生産量は、1960年代には3,000トン前後あったのが、2012年には200トンを割るまでに落ち込んでいます。最も多かった1961年が3,387トン、2012年が165トンでしたから、20分の1です。

 

ニホンウナギ生産量・シラスウナギ(稚魚)漁獲量
※ 農林水産省の統計より作成
「内水面漁業・養殖業魚種別生産量累年統計」「内水面漁業・養殖業魚種別生産量累年統計(種苗採捕量)」

 

ニホンウナギは絶滅危機ランク2

IUCNの絶滅危惧種のランクは3つあります。

絶滅危惧TA類 (CR) ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの。
絶滅危惧TB類(EN) TA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの。
絶滅危惧U類(VU) 絶滅の危険が増大している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続いて作用する場合、近い将来「絶滅危惧I類」のランクに移行することが確実と考えられるもの。

 

ニホンウナギは、3ランクある絶滅危惧種の中で2番目の「絶滅危惧TB類(EN)」とされました。「TA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高い種」という判断です。

 

IUCN(国際自然保護連合)では昨年(2013年)7月からニホンウナギを含むウナギ全19種の生育状況を科学的に評価してきました。

 

ニホンウナギは2013年7月の作業部会で、初めて「IUCNレッドリスト」入りが検討されましたが、最終判断に必要な科学的データが不十分ということで見送られました。しかし、今回はとうとう絶滅危惧種に指定されました。

 

ニホンウナギは、漁獲量が急減しており、IUCNの評価で3世代(30年間)の個体数減少が50%以上という基準などに当てはまると判断されたのです。生息環境の喪失、乱獲、海の回遊ルートの障害、汚染、海流変化などが原因と指摘されました。

 

【参考】 ウナギ稚魚の漁獲量が減少している原因

 

同じように漁獲量が急減しているヨーロッパウナギは、すでに2008年に「IUCNレッドリスト」に「CR:近絶滅種」として記載されています。最も絶滅の危機が高いランクです。また、2007年のワシントン条約締約国会議で国際取引規制が決まり、2009年から国際取引規制が実施されています。

 

ウナギは、やっぱり高嶺の花?

現在、日本で食べられているウナギの多くは、ニホンウナギの稚魚を国内で捕獲したり、輸入したりして養殖したものと、中国などから輸入される蒲焼です。国内で捕獲されたものだけに限られると、うなぎの生産量はいっそう減少し、価格も跳ね上がる可能性があります。

 

2013年は稚魚の漁獲量の落ち込みから仕入れ値が3倍近い価格に跳ね上がりました。今季は漁獲量が回復したため、取引価格が下がりましたが、ウナギ養殖業者は、台湾産などのニホンウナギが輸入禁止になれば、稚魚の仕入れ値が今季の3倍以上になると危機感をあらわにしています。

 

これから先、うなぎは、やはり高嶺の花になりそうです。

 

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